スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

企画16 『一時間SS/0430』  『灼熱の弾丸』

whiteA_small.png  ・4/30テーマ「休日」「ポジティブ」「繊細」「弾丸」





 律子は千早の両目を左の手のひらで押さえ、その視界を奪う。
 椅子に座ったままの千早は、膝の上で両の拳をきつく結んだ。
 従順な千早は上気した頬を一度震わせると、その淡紅色の唇を閉じようとする。
 スッと、その唇の間に、律子の右手の人差し指が割り込んだ。
「んっ――」
 千早の、声にならない声が律子の指先を震わせる。
 その爪が上唇を押し上げ、自然、千早の顎が上がる。
 舌が、触れた。
 律子は濡れた指をゆっくりと引き抜く。
 そっとなぞるように、千早の下唇を、そして顎の稜線を辿った。
「どう? 千早」
 細く引かれた律子の目は、幾分荒くなった千早の息を捉えていた。
 千早は小さな腹式呼吸で息を整え、逸らした喉を震わせた。
「ええ、なんだか、そんな気分になってきたわ」

 『灼熱の弾丸




 今の765プロには、3つの会議室がある。
 最大で20人が入れる大会議室と、10人程まで入れる、応接室を兼ねる中会議室。
 そして、最後の1つは、5人も入れば一杯になる小会議室だ。
 その小会議室で、律子は千早と向かい合っていた。
「それで、私を頼ったという訳ね」
「ええ。他のみんなには申し訳ないけど、理論的に考えて、律子に頼るのが最適解だと考えたわ」
 お願い、と小さく頭を下げる千早を前に、律子は腕を組み、2度、頷いた。
「賢明ね。千早の悩みを解決できるのは、確かに私しかいないでしょう」
 不遜な態度。不敵な笑み。不穏な言動。不埒な悪行三昧――。
 敵に回すと恐ろしいが、味方に付ければこれほど心強いサポート役はいない。
「悪いわね、休日だというのに付き合せてしまって」
「構わないわよ。私の、日頃の研究成果が実戦でも通じると証明してみせるわ!」
 千早の願いは、かくして律子を参謀に迎え、壮大な作戦行動と成り果てる。
 今日はその壮大な物語の幕開けだった。
 目指すゴールは唯一つ。
 如月千早が、如何にして天海春香を陥落せしむるか――。



「はい、これを好きに穴埋めして読んでみて」
 律子はホワイトボードに赤のマーカーで書いてみせる。

 ダ ○ ○ ン

 千早は何度か口を開き、指を折り、そして、小さな声で言った。
「弾…丸?」
 律子はその○の中に、「ン」と「ガ」を書き入れ、ふぅむと唸る。
「な、何なの? 私、間違っていた?」
「いいえ。これは正解を問うものではないわ。あなたの取るべき戦略を見たのよ」
「意味が分からないわ」
 千早は生徒のように椅子に座ったまま律子の言葉を待つ。
 律子はホワイトボードの前でニヤリと笑った。
「ロールシャッハテスト、あるいはバウムテストというのを知ってる?」
「聞いたことは、あるわ。心理分析みたいなものよね?」
 千早は、雪歩が面白いと言っていた海外ドラマの話を思い出していた。
 カウンセラー、いや、プロファイラーとか言っていたっけ――と。
「今、千早にやってもらったのはその応用よ」
「応用…? これが?」
「その通り!」
 バン、と律子の手のひらがホワイトボードを叩いて鳴らす。
「この間2文字に何を入れるかで、その人の取るべきラブアクション、アプローチ手法が見えるのよ」
「もう少し、具体的にお願いしたいのだけれど」
 たとえば、と律子は腕を組む。
「もしこれが『ダイコン』だったら!」
「ああ、それでも合うわね」
「その人は、駆け引きが苦手な人よ。当たって砕けろの精神で裸の自分でぶつかるの!」
「それはまさか、ダイコン役者、という連想?」
 千早は沸き起こる小さな胸騒ぎを必死に抑え、律子の言葉の続きを待った。
「もしこれが『ダスキン』だったら!」
「商品名や会社名はあまり出さないと思うけど」
「その人は潔癖症ね。相手の嫌な面が見えたらアウトだから、相手の過去をしっかり調べるべきよ!」
「キレイ好きの意味が違うと思うわ」
 自分が信じた相手なのだから、簡単に見限ってはダメよ――千早は自分を鼓舞する。
「もしこれが――いえ、これはちょっと言えないわね」
「すごく気になるわ」
 コホンと一度咳払いをして、律子は会話を仕切りなおす。
 千早も深追いはせず、本題の進展を待った。
「いえ、とにかく『ダンガン』と入れた千早は、自ら攻めなきゃダメなのよ」
「攻める、って一口に言っても難しいわ。どうしたらいいの?」
 千早は顎に手を当てて小さく首を傾げる。
 律子はニヤリと笑い、その千早の真正面に立つ。
「……え?」
 律子は両手を千早の肩に掛けると、ゆっくりと足を開き、向かい合わせに千早の膝上に座った。
 ゆっくりと腕を滑らせ、右手を千早の後頭部へ、左手を千早の背中へ回す。
 次第に体の距離が縮まり、胸を合わせるような形で顔が近付く。
「ちょっ…と、律、子」
 とっさに顔を背けた千早の体を、律子は強く抱きしめる。右目のすぐ近くに、千早の右耳が見えた。
 律子は首を回し、吐息がかかるように、耳たぶに唇が触れる距離で呟いた。
「だ、んッ……が……んッッ」
 千早の膝が、体の下で小さく震えた。律子はその振動を体で感じていた。
「どう? あなたの言葉が、声が武器になるのよ」
「ち、違うわ。こんな格好で――んッッ」
 体の下で、千早が震える。その様が楽しくて、律子は吐息混じりに様々な声を囁きかける。
 触れるか触れないかの距離。
 そこで繰り出される熱い言葉の弾丸は、確かに、繊細な千早の感覚器官を撃ち抜いていた。
 縛るように終えつけるその腕が、いつしか、髪の中に潜り込む。
 背中を辿る指が、千早の背中を優しくなでる。
「いい、千早。私がレッスン、してあげるわ」
 律子の耳に、千早の息が届く。
 間隔が、少し短くなっている。
「私の指導は、厳しいわよ。でも、絶対に、春香を落とせるようにしてあげる」
「――は、い」
「いい返事ね。可愛いわよ、千早」
 律子は、千早の細い首筋にふぅと息を吹きかける。
 熱い息は、千早の皮膚を撫で、毛細血管を焼いた。
「私達みたいなタイプは、独りじゃ生きていけないの。だから、支えあって生きましょう」
 律子は、その首筋に軽いキスをした。
 体の下で、千早の体が小さく跳ねた。

テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

コメントの投稿

非公開コメント

振り返り。

・先週 coroさんに「千早と律子の百合っぽい話を書く」とかいう話をしてた。
・お題が予想とずれていた。
・マジ百合にするのもアレだったので、途中で息抜き入れた。
・律子先生はアリだと思う。
・構想ではこの2倍くらいあったけど、1時間ではこの辺で終わった。
・百合っぽいけど、このシーンなら百合じゃないよね。うん。
・指舐めただけ。ハグしてるだけ。R-18でもないよね。うん。
・実に健全な恋のお悩み相談のお話。うん、青春っていいなぁ。

検索フォーム

プロフィール

ガルシアP

Author:ガルシアP
◎レッガー=●カブキ=カブトワリ

twitterでは “ gar_cia_P ”。

SS書いてましたが、
動画も始めて3年経過。
こちら、デビュー作です。


360版からアイマス界に参加。
ゲームもCDも中の人達も、
ニコマスもSSも、大好き。

Web-:http://garciap.web.fc2.com/
mail:underkoverloverz◆gmail.com

最新記事
最新コメント
カテゴリ
リンク
ドミノ・ピザ最高!
ドミノ・ピザ【PC向けサイト】
アクセスカウンター
最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。