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逢魔ヶ刻“黒”異変・幕間 『蒼い犬と言魂の話』

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「冬の折、如月の頃」 百合根P       ・03/18 テーマは「猫耳」「繭(まゆ)」「月明かり」「春の兆し」





 そは うたかた と ゆめうつつ。

 たゆたう たまゆら みおつくし。

 とわに ゆらぎし とえ はたえ。

 
 


 どこか遠くで、人の声がした。
 不思議な浮遊感に包まれたまま、千早は耳だけでその声を追う。

 ――可哀想に。

 その声は、自分に向けられたものだっただろうか。
 それとも、別の誰かに向けられたものを聞いたのだろうか。

 判然としない意識の中で、千早は、どこか安らぎを感じていた。
 寒くはない。
 体の重さも感じない。
 柔らかな液体に包まれ、漂っているような――。

 暗くはない。
 まぶしさも感じない。
 自分の体と外の世界の境目が消えたような――。


 意識の湖底に沈む、ひどい寒さの記憶。
 寒空。雪。石灯篭。
 声。指先。熱。


 私は、救われたんだ……


 ぼんやりと意識が戻る。
 けれど、目は開かなかった。


 浮上しかけた意識が、また沈み行く。

 声。懐かしい声。


 ――大丈夫? しっかりして頂戴


 嗚呼、と千早は声を上げた。
 声にならない声が、再び意識を持ち上げる。


 私は助けられたんだ。


 だから、今度は私が助けなきゃいけないんだ。


 手を伸ばす。
 指に糸が絡まった。
 そのまま押すと、糸はその数を増し、厚みを増した。

 あずささん。

 その声は、口から出た刹那、泡となって消え去った。


 口の中、甘い血の味がした。


 自分の意識を絡め取ろうとする柔らかな優しさ。
 その甘い安らぎを、千早は拒絶しようとした。


 私も行きます。
 私も連れて行って下さい。

 もう、1人にしないで下さい。


 必死に目を開けようとする。
 去り行くあずさの気配を追おうと、腕を伸ばし、声を上げる。
 水底から水面へと。
 急浮上するその意識は、鎖で編まれた投網のような言葉に包まれた。



 ――おやすみなさい。千早。どうぞ、良い夢を。



 千早の意識は、深く深く沈んで行った。

テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

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ガルシアP

Author:ガルシアP
◎レッガー=●カブキ=カブトワリ

twitterでは “ gar_cia_P ”。

SS書いてましたが、
動画も始めて3年経過。
こちら、デビュー作です。


360版からアイマス界に参加。
ゲームもCDも中の人達も、
ニコマスもSSも、大好き。

Web-:http://garciap.web.fc2.com/
mail:underkoverloverz◆gmail.com

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