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『企画』01 『@ClubNights』10



第五話 『星と雪』


 【12月4日、夜。20時00分】

 インターネットを通じて中継を聞いていたあるファンが、コメントを残していた。
「誰だろう。てか曲はなんだらう?」
 イントロが静かに響く。
 音が重なる。音。そして、声。
 ――どれだけ、飛べる?
 その瞬間、一斉に白い文字が躍った。
「まさか、美希か」
「これは…I want!」
「これがI want!ですって!?」
 衝撃的な展開は、姿の見えない中継ならではだったのかもしれない。
 しかし、それは会場となった店内でも、同じインパクトを与えていた。

「『I want!』を美希に歌われちゃうかぁ……」
 春香は苦笑する。
 美希は年下だ。
 美希は、私より少し背が高い。
 美希は、私より少し体重が軽い。
 美希は、私より少しウエストが細いくせに、少しバストが大きい。
 全部、ほんの少しだけ。
 そして、美希には私より、ずっと華がある。
 ステージの上で活き活きと歌う美希の姿を見て、どうにも胸が苦しくなる。
「何か、不都合でもあるの?」
 そっと後ろに立った千早が、春香の肩に手を添えた。
 ワンショルダーのストレッチドレスを着た春香の、大きく開いた左肩に置かれた千早の手――。
「千早ちゃん、準備は完璧っ! て感じだね」
 千早の手を振り解きたくなくて、春香は、首だけを回して千早を振り向いた。
 舞台の前、千早の手はとても冷たい。
 細かな理由は分からないけど、きっと、集中して、内側が熱くなってるんだと思う。
「千早ちゃん、自分の曲を他人が歌うのって、どんな心境?」
 聞いてみたい、と思っていた。
 ずっと聞きたいと思っていて、聞けなかった質問だった。
 千早は一瞬考え、すぐに首を横に振った。
「考えたことは無かったけれど、『自分の曲』という考え方が、もしかしたら余計なのかもしれないわね」
「どういう、事?」
「歌は、全ての人の共有物よ。今、その瞬間歌っている、その人のもの――」

 歌は、歌っている人のもの……

 なんだか、煙に巻かれてしまったような、分かったような分からないような答だった。
 でも、きっと、千早が言うならそうなんだろうな、と春香は思う。
 そんな考え方はした事がなかったけれど、でも、その意味が見えるかもしれない。
 そう思いながら、歌い終え、客席に大きく手を振る美希の姿を見ていた。
 輝いて見える。いつだって素敵な、最高の仲間の姿を。


「次は、私の番だね」
 雪歩が静かに、椅子から立ちあがった。
「雪歩、頑張ってね」
 千早が、真正面から声を掛ける。
「うん。しっかり歌えるから、聞いててね」
 そんな2人のやり取りを見て、春香は雪歩の強さを感じた。
 迷いのない表情。
 そして、まっすぐ前を向いて歩き出す、確かな力強さがそこにあった。
 ――聞いててね。真ちゃん!




 20時02分48秒――

「あと、どれくらい――進めばいいの――」

 雪歩の声が、会場の、そしてインターネットの先の観客の心を揺り動かした。 

                                                           【続く】

『ClubNights』11  第六話『色彩』


※このストーリーは企画の公式ストーリーではなく、当ブログでのイメージSSです。
  また、他のブログに掲載されるSSと設定等で差異があります。ご了承下さい。

※公式は、こちら!
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テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

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ガルシアP

Author:ガルシアP
◎レッガー=●カブキ=カブトワリ

twitterでは “ gar_cia_P ”。

SS書いてましたが、
動画も始めて3年経過。
こちら、デビュー作です。


360版からアイマス界に参加。
ゲームもCDも中の人達も、
ニコマスもSSも、大好き。

Web-:http://garciap.web.fc2.com/
mail:underkoverloverz◆gmail.com

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