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企画05 『一時間SS』&『一枚絵で描いてみm@ster』

お題:SS企画「一枚絵で書いてみm@ster」晴嵐改様イラスト

SSタイトル:『シンキングタイム』



「あれ? 千早、何やってるの?」
 新しく出来た水族館のプロモーションの仕事を終えて帰りの車を待つ間の事。
 エントランスのソファで、千早が携帯を触っていた。
「誰かとメール? って、そういう訳でもないんだね」
「あぁ真、お疲れ様。そうやってすぐ覗き込むのは良くないわよ」
「ああ、いや、ゴメン。たまたま見えちゃったっていうか……」
 見えたのは、千早の携帯の待ち受け画面。
 たぶんどこかヨーロッパの風景写真で、綺麗な川と、森の写真。
 千早は、別に何かが動くわけでもないその画面を、じっと見ていた。
 いや、違う。
 その写真に意味は無くて、例えそれが夜景でも、幾何学模様でも、『それ』を見ていた訳じゃないんだ。
 そして千早は、そのまま小さく息を吐く。
「……どうしたの?」
「分からないのよ」
 千早の目は、真剣だった。
 全く分からない。
 元々難しい事を難しく考える性格だからこういう姿は良く見るんだけど、それにしても今日は重症だ。
「何が、分からないの?」
 聞いてみる。
 とりあえず大切なのは状況把握だ。
 ボクは律子みたいに人の考えを読めないし、伊織みたいに鋭くも無いから、ストレートに聞くのが一番。
 そう思って、聞いてみた。

 携帯を閉じ、ジャケットの内ポケットに落とす。
 自分の提案が却下された、と真が勘違いしない内に、それをもう一度取り出した。
 真は、私の動作を不思議そうに見ている。
 私は、私の動作を不思議に思いながら、続ける。
 携帯を開く。アドレス帳。「か」行。
 真が、慌てて視線を外す。
 まぁ、どうでもいいのだけれど。
 相手を選び、発信。

 なんとなくマズいと思って、千早の携帯から目を逸らす。
 結局、教えてくれないのかな、と思った時――
 ボクの携帯が震えた。
「え?」
 携帯のディスプレイ。“千早”の文字。
 一瞬、千早に視線を戻す。
 目が合う。
 視線で送る『何?』。視線で返される『どうぞ』。
 電話に出て、はい、と答えた直後に聞こえる千早の声。
「デートしてくれますか?」
 ……は?

「つまり、納得がいかない、という事?」
「ええ。全く分からないわ」
 千早が考え込んでいたのは、『Do-Dai』の歌詞だった。

  (ケータイ取り出しポパピプペ)
  「デートしてくれますか?」

「それまでほとんど接点の無かった人に電話をして、
 自分の名前を名乗る前に『デートしてくれますか?』なのよ。不自然だわ」
 千早は、真剣に語る。
「そもそも、相手に告白されているのだから、その時点で自分の魅力を友人に確認するのも不必要よね?」
 千早の疑問は、次から次へと湧いてくる。
 『蒼い鳥』を自分の物として歌い上げる“早熟の歌姫”様は、実に狭く、暗い世界しか知らないんだよね。
 ああ、そうか。如月千早という存在は、とても面白い。
 千早自身が考える自分像と、マスコミに描かれた如月千早像は、どちらも間違いだ。
 そして、きっと千早のご両親も、千早の事を正しく見ていない。
 だから、せめてボクらだけは、千早のありのままを見ていよう。
 こんなに足りない物だらけの、それでも一生懸命な、如月千早を。

「そうだね。まず、このヒロインは、自分に自信が無い女の子なんだ」
 真がソファの前に回りこみ、少し肩を下げて立ってみせる。
「告白されたこと自体が、信じられない。『どうしてこんなダメダメな私が……』とか、そんな感じなんだ」
 つい、笑ってしまった。
 その先が、早く聞きたい。
「だから、まず『騙されてるかも』『何かの間違いじゃないか』って思ってしまう所を、
 『大丈夫、あなたは充分に魅力的よ』って言って欲しいのさ」
「どうして、そんな事を?」
「自分の価値を他人に、客観的に認めてもらうと、安心できるもんなんだよ」
「そうなの?」
「うん。自分の苦手なフィールドに立たされた時、それが一番良く分かると思うよ」

 歌というフィールドを選んで、頑張ってる千早。
 今は第三者から認められて安心する必要なんてこれっぽっちも無いだろうけど。
 でもいつか、好きな人が出来たりしたら、きっとガチガチになるんだろうね。
 自分の魅力なんて、きっと千早自身では見つけられないんだ。
 そんな時は、ボク達が色々と教えてあげるよ。
 千早は女の子としても、千早が思っている以上に魅力的だよ、って。

 安心していいよ。
 その時は、3通だけじゃない。
 もっとたくさん、みんなからメールが届くはずだから。

テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

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ヘロヘロ。

あー、タイトル付け忘れました。
1時間って、難しいですね。
2回目あればタイトル付けて、UPまでで1時間を目指します。

後付けで、『シンキングタイム』というタイトルにします。

拝読しました

千早の真面目でいてずれている面は本当に可愛いですよね
当人は真剣なのにまわりからすると、どこかその真剣さが可愛いというか
当人にそれを指摘しても、なかなか理解されない所が千早の不器用さですよね
そういうのも含めての魅力でしょうけど
そして、真は自分が女の子らしくありたいからこそ、他人の女の子らしさに
人一倍敏感で、色々わかってあげられる存在ですね
 そういう魅力を一番わかってあげられるから、真は女の子に人気あるん
だろうなぁと思いますww

プリンセス。

765プロの中でやよいが“お姉さん”できる相手が亜美・真美だけだから、
“お姉さん”やりたい時にはそれとなく亜美・真美を探すと思うんです。

それと同様に、真が“女の子らしさ”を得意げに語れる相手ってのが、
千早なんじゃないかと思います。

「もしもし」も「こんばんは」も無く、名前すら名乗らず、
顔を真っ赤にしながら開口一番、「デートしてくれますか!?」。
この乙女心を熱く語る真と、講義を受ける千早の図が目に浮かびます。

がんばれ、真。

読ませていただきました

美人はものを深く考えるように見える――千早への偏見はそんなところから始まっているように思わせてくれるSSですね。
真も千早もこのSSのように歌を真剣に租借して、自分のアイドルとしての血、肉に変えているように思いした。(ラジオで中の人同士の会話にも近いものがありました)。

現場到着。

> 月の輪P様

お読み頂き、ありがとうございます。
アイドルマスターのキャラクターはとても余白が多く、その分、
ニコマス文化圏を中心に様々な進化・発展をしておりますが、
やっぱり原点というか、ゲーム内コミュのイメージは踏襲したいと思っています。
「分からない事」について考える千早の図は、私の中でとてもそれに近く、
結果として、他のアイドルの反応も描きやすい、という構図です。

中の人っぽい、というのは言われて「確かに」と思う部分で、
確かに今井麻美さんの疑問って「え? そこ?」って事ありますね。
千早同様、根の部分がとても真面目で、勉強熱心な方なんだと思います。

No title

読ませていただきました。
千早による「Do-Dai」の検証に真による解釈、2人の性質を対比したような作品で、やはりガルシアさんはうまいなぁっと感心させられるばかりです。これが1時間でですからなおさらです^^
確かに千早ならばこういう明るい歌やラブソングを歌う場合の解釈に苦しんでそうですね、そこを周囲の人間に見守られてたりするんでしょうか、そして真みたいに一つの答えを提示してくれたりするのだろうか、そのあたり想像しちゃいますね。
素晴らしい作品をありがとうございました。

あと、これを機会に自分のブログからリンクを貼らせてもらえないでしょうか?
よろしくお願いいたします

No title

こんばんは。

千早って、物事を深く考えそうですよね。それが歌詞なら尚更。
でも、プロのアイドルともなれば、千早が今まで経験した事のないような世界観の歌も歌わなければならない。
そういった所を真が助けてあげてるんだなと思うと、素敵だなーって思います。

プリンス見るなり

> coro様

お読み頂きありがとうございます。

> これが1時間でですからなおさらです^^

そう言われると、時間かけて書いている今の本編のハードルが、
ずずーんと上がってしまう様でなんとも緊張します。
「一時間だったからねぇー」という言い訳が効かないというのもまた、苦しい事で。

しかしまぁ、何のかんので千早さん、すごい成長してますよね。
『朝ごはん』の頃に比べたら、L4Uで聞く『Do-Dai』のかわいらしい事といったら。
良きプロデューサーさんとファン、そして765プロの仲間に囲まれて、
今はきっと、とても幸せなんだと思います。

大丈夫。『Do-Dai』だってきちんと解釈できるさ。
真は、小鳥さんの次に適任だと思います。乙女心の講師役。

> あと、これを機会に(略)

うわ。すいません、わざわざご丁寧に。
リンクはもう、ご自由に張ったり切ったりして下さい。

すいません。
こっち、Webサイトの方から勝手にリンク張ってます。
http://garciap.web.fc2.com/

えーっと……、今後ともよろしくっ! って事で。

涙目だけど

> 肉塊P様

まいどありがとうございます。
いつぞやは二重コメントでカッコ悪い事して失礼しました。

> でも、プロのアイドルともなれば、
> 千早が今まで経験した事のないような世界観の歌も歌わなければならない。

そうなんですよねー。
それ考えると、14歳の美希が『relations』歌っちゃうのもスゴいんですが。

順序は逆かもしれないけれど、
いつか、自分の気持ちが曲の歌詞に追いついた時、
千早の歌はまたひとつ上のステージに昇るのかもしれませんね。

その手を引く真。背中を押す春香。先の方から手を振って呼ぶ美希。
そんなイメージでしょうか。

No title

ご返事ありがとうございます!
早速ブログとHPをリンクさせていただきました^^
これからもよろしくお願いします〜
…ふんわり百合百合!?

いつものキミでも

なんというんでしょうね。
恋愛物って、精神的な作風と物質的な作風があると思うんですよ。
それは描写の巧拙や多寡ではなくて、
その方の持っている雰囲気みたいなもので。

その辺の感覚で、リンク張らせて頂いた当時は「ふんわり」と書きました。
でも、最近の活動を拝見していると、そこに留まらない様で。
今後もこっそりリサーチさせて頂きます。

No title

千早は好きな人ができると性格丸くなりますよね。
恋愛なんて馬鹿馬鹿しいわと、歌一筋のクールな千早もカッコいいけど、
恋心に気付いてわたわたしてしまう辺りなんかは、キャラの剥離と相まって
すごく魅力的な部分を持ち合わせている女の子に見えてしまいます。

この真は、千早のそういう部分に気付いていそうな、やさしい雰囲気がしました。
知識の有無とは別に、恋愛ごとの相談を受けて返答する女の子、というのは、
なんだかすごくいい関係だなあと思います。

……って、一時間はやっ!

御礼。

> 寓話P様

千早は、アイマスキャラの中でももっとも振れ幅の大きなキャラだと感じます。
最初の頃の「アイドルに興味ありません」から、「二人で高みへ」まで、
そのどこを切り取ってもそれぞれに魅力的なのですが、
今回は、割と駆け出しの頃のイメージで書きました。
駆け出しの頃に『Do-Dai』は無いんですが、まぁ、そこはそれで。

千早の武器は圧倒的な歌唱力ですが、それは歌の世界観とシンクロした時の話で。
歌が自分の物になっていない時は、やはり上手く歌えないんですよね。
で、本人もそれを重々承知しているから、必死になって歌詞を解釈しようとする。

そんな必死の努力で、やっと普通の女の子の心境にたどり着ける、という図が、
真との対比で際立っていればいいなぁ、と思います。

拝読しました

拝見させて頂きました。
イラストの使い方というか、イメージの発想が「ケータイ取り出しポパピプペ」だからこその「Do-Dai?」の歌詞なのでしょうね。途中に訪れる急な人称変化に「おや?」と思わせられたのですが、なかなかなるほど、千早さんの歌詞への疑問がこちらにも感じ取れました。このイラストに合ったアイマス曲かぁ、その発想と話の展開方法に技術の高さとアイマスへの愛が感じ取れました。脱帽であります。
いい意味でボケ殺しと評される千早さんですが、簡単なことも難しく、難しいことはもっと難しく考えてしまう節が確かにありますよね。そのあたりの話と真さんを絡ませるとこうなるんですねぇ…なるほどふむふむ、面白いです。
素晴らしいSSをありがとうございました!

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プロフィール

ガルシアP

Author:ガルシアP
◎レッガー=●カブキ=カブトワリ

twitterでは “ gar_cia_P ”。

SS書いてましたが、
動画も始めて3年経過。
こちら、デビュー作です。


360版からアイマス界に参加。
ゲームもCDも中の人達も、
ニコマスもSSも、大好き。

Web-:http://garciap.web.fc2.com/
mail:underkoverloverz◆gmail.com

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