『企画』04 「一枚絵で書いてみm@ster」 『二律背反のサクリファイス』あとがき

書いてみm@ster

参加作品 『二律背反のサクリファイス』 のあとがきです。

 


 



元々、お話を分岐させて「読者側の選択」で変化するお話は、いつか書いてみたいな、と意識していました。
ただそれは、同じ設定、同じ時間軸の中でいかにストーリーを変化させるか、というイメージでした。

例えば、うっかり千早の携帯を覗いてしまった真が、正論を積み重ねるタイプの非難を受けたとして、

【A】「ゴメン、千早。悪かったよ。この通りだから」と言って、顔の前で手を合わせる。
【B】「言い過ぎだよ、千早。見られて困るなら、そっちも場所を選びなよ!」と、腰に手を当てる。

という2択だとします。この場合、選択前・後の千早も真も、同一人物、同一設定の連続性があります。


今回の『二律背反のサクリファイス』の場合、それとは異なっています。
【A】【B】【C】の各ルートに共通背景は無く、キャラクターも時間軸も不連続です。

今回の「一枚絵で書いてみm@ster」の場合、最初からお題の絵が提示されていましたので、
挑戦の方向性としては、いかに差のある展開にするか、物語にするか、雰囲気にするか、という事で、
冒頭の文章を共有しつつ、なるべく別物になるよう、意識してみました。

漠然とストーリーのイメージ、展開、出来事を思い浮かべ、
それぞれを「明るい / 暗い」と「コメディ / シリアス」の2軸・4域にぶち込んでいきます。
その中からつながりそうなもの同士を繋ぎ、或いは域間でトレードし、
なるべく差・変化のある4つのお話を考えました。

 

コメディ

シリアス

明るい

 【A】ルート

【B】ルート

暗い

 

 【C】ルート



各ルートの配置としては、こんな感じです。
空欄になっている「暗い / コメディ」は幻の【D】ルートで、2月末が誕生日のプロデューサーに、
さぁ何をプレゼントしよう、と2人で相談するのですが、実は……みたいなお話でした。企画としては。
結果的に、あまり満足の行く仕上がりにならなかったので幻のまま、さようなら。

かくして、3つのルートが出来上がった訳です。
以下、各ルートについてこまごまと書いていきます。

たまには記事の開閉機能を使ってみましょう。

AmSa.png


【タイトル】

タイトルだけだとピンとこないけど、なんかすごそう、というタイトルを目指して。
結果的にシュタインズゲートの章タイトルみたいな響きになってしまったので、
タイトルロゴはうろ覚えでそれっぽくしてみました。こんなじゃなかったでしたっけ?

人を助けているようで、実は自分を守っている。
人を傷付けているようで、実は自分が傷付いている。
愛したいと見せかけて、実は愛されたい。

そんなこんなを内包しながら、止まる事の出来ない時の流れこそなんたらかんたら。

「誰が悪い、って訳じゃない……」

そんな感じです。




【A】ルート 『思い出をありがとう』

いかに馬鹿馬鹿しい展開にしようか、というイメージ。
ニヤニヤするPと、それを見て呆れつつちょっとジェラシーな千早と真の共同戦線。
自分達の行動に一生懸命理由をつけて正当化する千早をみて微笑むルートです。
あんまり書く機会が無いのですが、小鳥さんは色々便利なんだなぁ、と実感。


文中と文末、合わせて2回、
千早:「意味が分かりません。もう少し分かりやすい表現をお願いします」
真  :「ピンと来ないんで、ちょっと実際にやって見せてくださいよ」

というセリフが出てきますが、全く同じ文言でも、意味と2人の表情が真逆です。




【B】ルート 『Do-Dai』

「ほーんばん当日ッ♪ あたふったしまくり♪」
「じゅーんび万端♪ だったッはっずぅなぁのーにッ♪」
亜美・真美が歌っている通り、今日は事務所移転記念のパーティーです。
みんなが集まる前に、ひとつ、懸案事項を解決しておきましょうか、という話。
プライベートの写真を撮られる、というのはある意味仕方ないですが、今回は行き過ぎでした。

これは「一枚絵m@ster」の企画そのものをミスディレクションとして使っています。
「真と千早は同じ場所にいる」「携帯は千早の手に握られている」という前提にも似た先入観。
また、ストーリー分岐で【A】を先に読んだ方(=ほぼ全員)も錯覚して頂けると思います。


【B】ルートで話を進めた場合、事務所のシーンに千早はいません。


「真は千早の携帯を覗き込む。」
 という表記はありますが、千早が事務所に置いていった千早の携帯を、真が開いて覗いています。


分岐前の各ルート共通の冒頭でも、千早に関する記述はありませんし、
【B】ルートに入ってから真が「千早」と呼びかけるのも、盗聴器に向けたフェイクです。エア千早です。

「携帯を操る彼女の指の動きは意外に速く、その画面を見つめる目も真剣だった。」
 この『彼女』は真です。

テレビ放映されたNG大賞、のくだりで、千早はある程度のアイドルランクに上がっていて、
歌以外の仕事もそれなりに前向きに受けてくれてるんだな、って事を読者の方に認識して頂き、
「じゃあ、やよいもそれなりに有名なのかな」「狙われちゃう程度に有名なんだな」
と思って頂いて、後半の流れに進んでいきます。
ここで同時に、千早が王子様役をやる理由付けを行っています。
もし手違いで男衆が間に合わなかった場合、千早の全力の悲鳴が路地裏に響き渡る結果に……

盗撮犯くらいなら撃退できると思います。素で。




【C】ルート 『relations』

着想としては、一番早かったルートです。

×)真が千早の携帯を覗く
○)千早が真に携帯を見せる

じゃあ、なぜ? 「画面でメッセージを送る為」「意思伝達を行う為」
じゃあ、なぜ? 「千早の声が出ない――」
じゃあ、なぜ? 「心因性発声障害」「ショックを受けるような出来事」


ただ、色々と考えている内に、ぱったりと書けなくなりました。
どうなんだろう、こういう話って。
企画参加してる皆さんが、あるいは通りすがりのゲストの方が、
「読みたい」話ではないだろうなぁ、と思い、最初は完成も公開もしませんでした。

ただ、色々と考えて考えて、完成と公開に進めてみました。
『アイドルマスター』というゲームそのものが、無数の「if」の集積であり、
なんとなく私達は、その中から一番幸せな、一番理想的な道を思い描いてしまいます。

でも、思い通りにならない事も、不可逆の失敗も起こり得る訳ですし、
そこから立ち直る為に、苦しんで苦しんで、時には大切なものを失う事だってあるかもしれない。

そんな事を考えながら、書いていました。




ぶつ切りになってしまった為に、分かりにくかった点があるかもしれませんが、
企画全体の中で見て、1つくらいこんなのがあってもいいかな、と思いました。

感想をくれた皆様に、深くお礼を申し上げたいです。

今回はあとがきとして、ちょこちょこと内側の話を書いてみました。
こういう話をどんどんしていきたいなぁ、と思っております。

テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

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No title

非常に興味深いお話でした。
アイマスのコミュ自体、そもそも三択シナリオの連続ですしね。

一定の選択肢から、時間軸とキャラが大きく跳躍するような展開になると
本来の設定をぐんと引き離すことができる(ギャグにもシリアスにも)分、
更にいろんなシナリオが生み出せそうな気がします。
可能性としては低いシナリオほど、新鮮さは強烈に感じてしまうので
個人的には今回のシナリオ中、Cルートが一番好きです。


あと、これはちょっと余談になってしまうのですが
タイトルのカラーリングが青と黒二色の構成で出来ているのが、
お題の二人をちゃんと踏まえていて上手いなあと思いました。
(背景の線と球もグレーとブルーで分かれていたんですねー)

御礼。

> 寓話P様

こんばんは。未だに、「P」の後に「様」を付けて呼ぶのが正解かどうか迷うガルシアです。
コメント頂き、喜んでおります。
ちょっと返信にお時間頂いたのは、色々慎重に答えたかった故。

> 個人的には今回のシナリオ中、Cルートが一番好きです。

そう言ってくださる方がいて、一安心です。
いえ、安心というのとは少し違うのですが、ともかく意義があったと安堵。
書き終えた後、なんか、気に入ってしまったのです。自分で。
何が、と問われると難しいんですが。空気というか、色というか、音みたいな。
基本的にはハッピーエンド至上主義者なんですが……

> タイトルのカラーリングが青と黒二色の構成で出来ているのが、
> お題の二人をちゃんと踏まえていて上手いなあと思いました。

これは『アイドルマスター』企画チームの偉大なる功績だと思っております。

アイドル毎に「持ち色」が決まっている、というのは本当に使い勝手がいい!
サイトのメインページ(http://garciap.web.fc2.com/main.html)を作った時に、
本当に実感しました。なんと素晴らしいシステムなんだろう、と。

結果的に、色だけで読者にアイドルのイメージを認知させられるというのは便利で効果的です。
仮に、千早のシルエットをピンクにしたら伊織と認識するかもしれません。
同じく、美希のシルエットをエンジにしたら、貴音と錯覚するかもしれません。

タイトルロゴを作ったり、バナーを作ったり、アイコン的な何かを作るのが大好きなので、
『色=アイドル』という1対1の構造は、本当に助かります。
(876勢を考え始めると大変ですが……)

SS書いて、もっと上手くなりたい訳ですが、それ以外の方向でも色々やって行きたい限り。
挿絵描いて贈る、ってレベルじゃないですが、誰かと組んで何かやるのは楽しそうです。

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プロフィール

ガルシアP

Author:ガルシアP
◎レッガー=●カブキ=カブトワリ

twitterでは “ gar_cia_P ”。

SS書いてましたが、
動画も始めて3年経過。
こちら、デビュー作です。


360版からアイマス界に参加。
ゲームもCDも中の人達も、
ニコマスもSSも、大好き。

Web-:http://garciap.web.fc2.com/
mail:underkoverloverz◆gmail.com

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